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2006.07.14

「ゲド戦記」、試写で観て来ました!

スタジオジブリ最新作、映画「ゲド戦記」、試写会で観て来ました。宮崎駿の長男である宮崎吾朗の初監督作品。人気ファンタジー小説「ゲド戦記」の3作目「さいはての島」が原作。世界の災いのもとを探る魔法使いで大賢人のゲドと、王である父を刺し放浪する途中ゲドと出会い旅を共にすることとなった王子アレンの物語。

中盤まではわりとゆったりと、キャラクターたちの出会いなどが描かれます。エンタテインメント作品とは思えないどこか落ち着いた流れに、これまでとは少し違った感触。重点を置いて描かれるアレンの心の闇との葛藤は、単なるファンタジーや冒険映画に終わらない深みを与えるエッセンスに。自分の中の不安や葛藤との戦いといったテーマは、原作でも後のファンタジー作品や映画「スターウォーズ」、宮パパの「風の谷のナウシカ」に至るまで広く影響を与えたといわれる肝の部分の一つ。やや象徴的、抽象的な描写もあり、子供の観客には分かり辛い部分もあるかと思われますが、その辺の表現はなかなか興味深いものがあったかなと思います。

しかし、アレンやゲド、そして謎の少女テルーなど数々のキャラクターたちにいまひとつ感情移入できませんでした。それはなぜだろうと考えるに、一つは2時間弱という映画の中でそれぞれの背景や人間を描き切れていないというのがあると思います。アレンがなぜそのような心に闇を持つに至ったのか、という部分をはじめ、ゲドの過去や大賢人ぶり、テルーの孤独と苦悩といったものを語るのにあまり時間は割かれておらず、中盤以降の展開がやや唐突だったり焦燥に感じてしまう部分があります。先述の通り、序盤がわりとゆったりしているだけに尚更なのかもしれません。

それでいて、終盤ハイテンポで小気味よくというわけにはいかず、なぜか盛り上がりに欠けるのも痛いところ。都城・ホートタウンに訪れた際、人狩りやクスリが横行している様を描くなどしていますが、災いに苛まれている世界、世界の均衡が崩れゆく恐怖というのを感じさせるには全く甘く浅い。それが響いて、その災いの元凶であるクモとの戦いにもいまいち引き込まれないといった感じでした。クモの企みの動機付け、そして対峙するアレンの闘う動機付けも弱く感じてしまいますし・・・。

先述の心の闇とも重なってもくるのですが、生と死、生きる不安や死への恐怖といった普遍のテーマを描こうとしているのは、悪くないと思います。ただ、これは前作「ハウル~」で込められていた反戦思想でも感じたことなのですが、やはりちょっと台詞がストレート過ぎるかなという気はしました。「命を大切にしない奴なんて、大嫌いだ!」・・・確かに仰る通りなんですけどね。

前評判が高く、CDも好セールスを記録している「テルーの唄」は、映画で歌われるシーンもなかなか素晴らしくて、印象的でした。歌詞は萩原朔太郎の「こころ」という詩をモチーフにしているらしいですが、メロディも素朴で胸に響きます。手嶌葵は新人歌手らしいですが、なかなか上手いし。声優としては普通な感じでしたけど(汗)。あ、声優といえば、アレンの岡田准一やゲドの菅原文太はなかなか良かったです。手嶌もそうですが、テナーの風吹ジュンとか、クモの田中裕子など、どちらかと言うと女優陣のほうがちょっと違和感を多く感じたかも。

決してつまらないとは言いませんが、見慣れたデッサンや演出で2時間を引っ張るには近年のジブリは若干パワーが落ちてきた感じ。ちょっと飽きとか行き詰まり感がなくもないですね・・・。全盛期の宮崎駿作品を越えるような監督や脚本が今後生まれるか否か。日本アニメ映画界の雄だけに諦めず注目して期待したいところ。

「ゲド戦記」は7月29日全国一斉公開です。

夕闇迫る雲の上 いつも一羽で飛んでいる
鷹はきっと悲しかろう
音も途絶えた風の中 空を掴んだその翼
休めることはできなくて
心を何にたとえよう 鷹のようなこの心
心を何にたとえよう 空を舞うよな悲しさを
♪手嶌葵 / テルーの唄

http://www.ghibli.jp/ged/

テルーの唄

ゲド戦記

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