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2006.05.21

「ダ・ヴィンチ・コード」

いま話題の映画と言えばこれでしょう。「ダ・ヴィンチ・コード」、早速観てきました。カンヌ開幕上映等での酷評も承知していましたが、やはりこれだけの話題作ですからとりあえずは観ておこうってな感じで。原作本も2年前くらいから話題になっているのは知っていましたが、僕自身読んだのはごく最近、今年初めくらいです。宗教や歴史を題材にしたミステリーは好きですし、数々のアナグラムや記号(象形)、暗号が登場し、ダ・ヴィンチ作品やキリスト教に大胆な解釈を与えるストーリーは純粋に楽しめたので、あのウンチク(真偽入り混じりですけど)満載の小説がどのように2時間半の映画となるのか興味深かったです。

見終わった感想としましては、カンヌの映画評論家たちのように冷笑とまではいきませんが、正直、原作を読んだファン向けかなぁという気はしました。まず原作を読んでない方が観ても、なんだか分からないのではないかと。キリスト教に興味や知識がない人なら尚更でしょう。原作でそのページの大半を占める暗号の解読やまつわる歴史的宗教的エピソードの数々が、活字ならその合間に登場人物たちの心理描写などもあって読者のペースで読んで理解していくところが、映像作品になったことで、ハイ次ハイ次という感じで怒涛の如くシーンが流れていってしまいます。映画ではラングドンもなんだか象形学者というよりは超能力者のように暗号を解いてしまい、謎を解き明かしていく緊張感とかカタルシスのようなものが欠落してしまったように感じました。

初っ端のつかみどころとも言えるソニエールのダイイングメッセージや「最後の晩餐」の解釈などもあまりにも説明的にあっさりと流れていってしまって、事前情報皆無な人はまず置いていかれてしまうような気がします。肝心なソフィーとソニエール館長との過去や、アリンガローサ司教とシラスの師弟愛も描けていません。ソフィーがソニエールに強い嫌悪感を持っていたこと、その主要因である儀式についても、もっと原作通り描くべきではなかったかなと。原作でのリーのエロ爺ぶりも映画ではすっかり薄らいでますし(笑)、儀式の件を適当に流したのも、表現に気を使い過ぎてしまったのでしょうかね・・・。

とにかく原作のアイデアとシーンを詰め込もうとするばかりに単なる羅列になってしまって、登場人物の心情であるとか緊張感であるとか、ミステリーのワクワクドキドキ感が物足りない印象。本物で撮影されたというルーブル美術館に始まり、スコットランドのロズリン礼拝堂に至る宗教史跡の旅も、いまどこに居るシーンなのかも分からなくなるくらい、臨場感も距離感も伝わってきません。まったくもってもったいない。やはり省き方、アレンジに難あり、これでもクリプテックスは1重のみでしたし、終盤の展開も若干原作と異なる箇所は見受けられましたが、2時間30分の映画にするには無理があったのかなぁ・・・という感が否めません。いっそ原作と同じく2部(2作)構成にでもして、もう少しゆったり描いたほうが味のある作品になったような気がします。残念!

イエスに妻と子孫がいて、その秘密こそが聖杯であり、血脈は現代もなお続いている・・・という仮説は、興味深いもの。映画や原作ではラングドンやリーがあたかも真実かのように語っている話の中には、証拠や根拠の信頼性が低い論説や突飛な解釈も含まれています。シオン修道会の実態などは、秘密文書も含めて、実際には信憑性のある資料や証拠もほとんどないようですし。オプス・デイなんて、原作でこそ そのいきさつなどがより深く描かれているものでよいですが、映画だけ観たらただの狂信的な悪者集団のようになってしまってますし(苦笑)、実在する宗教団体や歴史を舞台にしているシナリオなので、現実とフィクションの境が曖昧な点もあり、関係者や団体、各方面から反発が起きるのも当然でしょう。

しかし、イエスを"神"とするキリスト教が確立したのは、イエスが死んでから(転生して神となってから)1世紀後とも、3世紀後とも言われています。もともとはユダヤ教の改革一派的な存在であったはず。イエスをキリスト(救世主)、神とする新約聖書は、イエス自身が書き残したものではなく、弟子の福音書をもとに後の人間によって編纂されたものに過ぎない。・・・とすれば、イエスは一預言者で宗教改革の先導者であったとも考えられます。人として生き、妻を持ち、子を持ったとしても少しも不思議なことではないはず。

現実にはイエス自身も実在しなかったという説を唱える研究家さえいるそうです。要は、2000年以上も前の"真実"を僕ら一般の人間は誰も知るものなどいないのです。宗教史に限らず、歴史というのは往々にして、後の権力者などによって都合よく書き換えられたり、抹消されることもあったでしょう。原作本がヒットして、映画化が決定して、いよいよ映画公開という現在になって、カトリック教会が抗議したり、上映禁止だのって話が出てくるのは、おかしな気がしますよね。カンヌの前で座り込みしたって、話題が増して、映画の宣伝に貢献しちゃうだけだと思うんですけどね・・・。こうなってくると、ソニーと柔らかい物腰で物申している程度のオプス・デイのリリースがとても大人に見えてきます(笑)。

映画の出来はともかく、キリスト教にあまり縁のない僕たち日本人のような人間までがこうした宗教や歴史に興味を持つってことは、悪いことではないんじゃないでしょうか。ま、敬虔な信者や純粋な信仰を興味本位で傷つけてしまってはいけないというのはありますけど・・・。信仰は信仰として、歴史は歴史として真実を知ろうとすること、研究していくことは大事なことだと思います。

それに、バチカンにしてもオプス・デイにしたって、だからって原作者のダン・ブラウン氏に処刑命令をくだしたり、ソニーを爆破しないだけ賢明というか、ま、当たり前のことなんですけど・・・。どこかの宗教なんて肖像画書いただけで大騒ぎ、預言者を批判しただけで殺されたりですからね(汗)。

http://www.sonypictures.jp/movies/thedavincicode/

ダ・ヴィンチ・コード

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