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2004.12.02

「ハウルの動く城」と「スカイキャプテン」

ハウルの動く城」と「スカイキャプテン」、劇場公開中の新作映画2作を鑑賞してきました。

「ハウルの動く城」は話題の宮崎駿監督最新作。これは期待が大き過ぎたのか、結論から言うといま一つでした。個人的には前作の「千と千尋の神隠し」もそれほど好きな作品ではないですが、千や個性豊かなサブキャラたちなどのキャラは立っていて、観ていて普通に楽しい作品ではありました。しかし、本作はどうもそういう魅かれる部分があまりに乏しい。かと言って、「風の谷のナウシカ」や「もののけ姫」のような強いメッセージを感じるわけでもなく・・・。※以下ネタバレあります。

動く城、魔法使いと呪いで90歳の老婆となった娘の恋、これだけでつかみはOKといった感じだったはずなのですが、蓋を開けてみれば、城とは名ばかりのガラクタ一軒家に、動機も過程も薄っぺらい上辺だけのラブストーリー。ハウルやソフィーをはじめとするキャラクターたちの設定や背景も全く丁寧に描かれておらず、手っ取り早い説明的なセリフで急速に進展するストーリーに、とても感情移入などが出来たものではありません。炎にされた元悪魔のカルシファーやカカシのカブなど、いろいろ登場するサブキャラはいかにもジブリらしいのですが、なんだか「千と千尋の神隠し」などと比べてもインパクトに欠ける気がします。

ハウルはなぜ悪魔と契約したのか。国やしきたりに左右されない自由な魔法使いを求めたから、それだけ?孤独で臆病者といった彼の陰の部分は少し触れられるだけで、その苦悩や悲哀はあまり伝わってこない。彼が戦争を憎悪したりちょっかい出す理由も希薄。「僕には守りたいことが出来た。それは君だ」とか突然言われてもって感じ。結局彼は何を成すわけでもなく・・・。

冒頭ソフィーが老婆にされ、家を出て行くまでの展開も、なんだか飄々としていて緊張感に欠けます。呪いをかけられた直後こそちょっと慌てるものの、翌朝には「とにかくここにはいられないわ」とすっかり開き直って早々に旅支度。その後もなんだか呪われた戸惑いはどこへやら。街での帽子仕立ての毎日に物足りなさを感じていたとは言え、あれでは観ている方も「じゃ、別によかったんじゃないの」的に冷めてしまいます。

結局最後までにソフィーの呪いは解けたのでしょうか?途中からソフィーの見掛けは、時に若い頃と同様になったり、時に中年のオバさんくらいになったり、また90歳の老婆に戻ったりしますが、あれはなんなんでしょうね。僕は彼女の「心の若さ」を表現していると捉えました。ある意味、呪われた90歳の老婆の姿は、そのときのソフィーの内面が具現化したものであって、ハウルとの生活のなかで恋や未知の経験を経て若返っていったのかなと。ただ、そう考えると、結局最後の若々しいソフィーの姿は本当に呪いが解けたのかどうかという疑問が残りました。僕は呪いは解けたのだと解釈しましたけど、髪は白髪のままでしたしね・・・。その辺の答えは、あえて観る人に委ねているのかなぁ。

9.11後の世界を意識したのか、反戦的なメッセージも込められているようですが、この辺も、戦争は味方も敵もなく悪だと言いつつ、ハウルは軍への協力は拒むものの独自に軍機などに襲い掛かってるし、いまいち心に響いてきませんでした。ソフィーを守るために敵を倒すのと国のために戦う戦争と、家族を守ろうと戦う一兵士の立場からすればさして変わらない気がするのですが。ラストの戦争の決着もあまりに安易で。それにカブの正体も・・・。

宮崎監督初の原作ものということで、2時間にそれを詰め込もうとしてストーリーをなぞるだけのようなものになってしまったということなのでしょうか。戦争の結末が呆気ないのは、子供向けと考えれば確かに単純に「戦争はいけないんだよ」でいいのかもしれません。しかし、だとすると、先のソフィーの見かけがコロコロ変わるところとか、終盤描かれるハウルの過去と契約のイメージシーンとかは子供には不親切で分かり難いように思います。この映画はいったい誰に向かって、何を語りたかったのでしょうか・・・!?

最後に声優陣についてですが、ハウルの木村拓哉はとても良かったと思います。イメージにも合っていたし、演技も自然に受け入れられました。が、一部で非難の的になっている通り、ソフィーの倍賞千恵子は僕も違和感を強く感じました。中盤以降はだいぶ慣れて観てしまった感じですが、冒頭若い姿のソフィーがいきなり"さくら"の声で喋り始めた時は会場全体がサーッと引いた気がしました(苦笑)。老婆の姿の時はわりと良かったと思いますが、若くなったり老婆になったり雄入り乱れだし、こんな難しい役を彼女に頼んだ監督の意図は測りかねます。

一方、「スカイキャプテン」はとても楽しめました。レトロフューチャーというか、フライシャー兄弟などの戦前SF的世界観に基づいた映像が、とにかく印象的。ロボットやメカのデザインしかり、光線銃しかり。この映画製作のきっかけは監督ケリー・コンランが一人4年を費やしてCGなどを駆使して製作した6分のショートムービーだというから、彼の趣味、やりたいことがギュッと凝縮された感じの作品。だから潔くて観てて気持ちがいいです。

ストーリーも至って分かり易い。中盤以降の展開に物足りなさを感じる人もいるかもしれませんが、なんだかレトロな少年向けSF冒険物語って感じで、僕はヘンに最近の映画にありがちな小難しい話とかになっちゃうよりは明快でいいんじゃないかと感じました。ドジっ子ポリーとか、普全編通してのポリーとジョーの浮気云々の小話とか、いかにもじゃないですか。そういうのが楽しく見れるこの映画の雰囲気は好きですね。グウィネス・パルトロウもアンジェリーナ・ジョリーもいい感じだし。

ソフトフォーカスでモノトーンな独特の映像美も必見です。日本では奇しくも少し前に「CASSHERN」で同様の手法が用いられ話題になりましたが、あちらは極彩色な色使いで世界観も異なりますし。ただ、2時間近く見続けていると若干目は疲れるかもしれないのが難点でしょうか。

この監督の趣味が嫌いでなく、あとは難しく考えないで観ることが出来る人ならオススメの作品です。


ハウルの動く城

スカイキャプテン

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コメント

コメント、トラックバックありがとうございました。
うーんなかなか手厳しいですね。とても。
確かに、疑問が残った部分はありますね。「丁寧に描かれずに…」と仰っていますが、なんかサクサクと進みますからね。おいおいそれでいいのか?という具合に。個人的には、そういう省略スタイルは、宮崎作品に限らず好きなので、かなりアリでした。ここんところの彼の作品が、逆に「くどいよ!」とか思っていた人間なもので…。
スカイキャプテンの軽さを楽しむように、向こう見ずな老人少女の恋の成就の物語を楽しんでしまえましたね。
「変な作品」なのかな。

osamuさん、コメントありがとうございます!
先日はそちらにお邪魔しました。

やはりちょっと厳しく読めますでしょうか・・・。しかし、それもこれも作品に期待していたが故なので、お許しを。確かに「もののけ姫」なんて意味深でくどいっちゃくどいですものね。ただ先に書いたように、「ハウル」も終盤の展開は子供に理解できるのかなぁという疑問も感じますし、その辺のバランスに違和感を感じたのかもしれません。

文句ばかり書いてしまいましたが、ジブリらしい夢のある作品ではありますし、一つ一つのシーンは美しいし良いシーンもありました。階段昇り対決のシーンなんかは僕も笑いましたよ。

しかし映画の日だったとはいえ、平日にもかかわらずすごい人手でした。宮崎監督作品への日本国民の期待をひしひしと感じました。そういうなかで、良い映画を作るというのは並大抵のことではないですよね。まだまだ頑張って欲しいものです。

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